
今回はヒル・トレーニングで育ててきた脚力を生かしてスピードを獲得するための無酸素トレーニングについて解説していきたいと思います。
無酸素トレーニングの全体における位置付けと目的

ここから本格的なスピードトレーニングが始まります!

前・中編をご覧でない方は、興味があれば有酸素・ヒルトレーニング期の位置付け・目的・実施例も合わせて確認してみてください。
いよいよレースに向けて本格的に準備する期間です。それでは恒例の目的を確認しましょう。
LTペース以上のスピードに耐えうる体を作ること。

無酸素トレーニングは、インターバル・トレーニングとも言い換えられています。

あなたの想像(実施)しているインターバル・トレーニングとの違いを意識しながら読んで頂けるとより理解が進むと思います!
普段は本書(リディアードのランニング・トレーニング)で紹介されているトレーニングにまつわるエピソードをカットしているのですが、これは象徴的な内容だったので引用しておきます。
1974年の英連邦大会で無名のニュージーランド代表リチャード・テイラーが10000mで優勝する6週間前。彼がリディアード氏と公園でトレーニングしている場面です。
*リ:リディアード、学:野次馬の学生
学「彼、リチャード・テイラーでしょ?何してるの?」
リ「反復走(無酸素インターバル)だ」
学「(そんなこと見りゃわかってるよ!)どれくらいのペースで走っているの?」
リ「わからない、タイムは取ってないから」
学「何回繰り返すの?」
リ「わからない、教えてないから」
学 (お互い顔を見合わせて頭を掻いている…姿が彷彿とするでしょう!)
リ「ところでこの公園の周りは何メートルあるのかな?」
学 (その質問にむしろ困惑して)「あなた一体誰なんですか?」
リ「リチャード・テイラーのコーチだ」
学 (笑いながら去って行く…)
リディアードのランニング・トレーニング(ベースボールマガジン社)P147より引用
詳しい内容は本書で確認してください!
無酸素(インターバル)トレーニングの内容とそのポイント

続いて、トレーニング内容についてみてみましょう!
期間:2〜4週以上 (4〜5週が推奨)
内容:LTペース以上の短距離を繰り返し(十分になるまで)
頻度:週に2回をベースに
実施の距離、本数、リカバリータイムが記載されていないのには理由があります。
このトレーニングの真の目的を理解して、数字から解放されることで「あなたにとって」最も効果的なトレーニングにするためです!
ポイントは以下の3点です。

ボリュームと強度のバランスを大切に
このトレーニングは、リカバリーも含めて40-60分間、最低30分の継続が重要としています。
この時間は、無酸素運動で起きる体(血液)の酸性化への順応性を高めるために必要という観点から算出されています。(*メカニズムはここでは割愛します)
つまり、この時間を継続できるだけの強度(かつLTペース以上)にすべきということです。

速すぎも遅すぎもダメ。短すぎも長すぎもダメ。
まさに、あなたの体に最適かつ効率的なポジションを見つける必要があるということです。

では、どう見つけるか?それが自分の感覚と反応に耳を傾けることです!
自分の感覚と反応を重視する
リディアード氏は下記のようにざっくりとした形で提示していたようです。
- 速さ:ゼーハーの入り口にかかるスピード
- 距離:この公園1周くらい
- 終わり:もう十分と感じるまで
まさに”感覚インターバル”ですね。
とはいえ、目安はほしいですよね。
著者の橋爪氏は目安を下記のように提示しています。
- 時間:1- 4分間
- 距離:200 - 1000 m
- 心拍:最大の90%くらい
- リカバリー:最大の60%くらい
- トータル距離:5kmくらい
終了のタイミングについては、このような体のサインを参考にします。
- フォームに力み(肩・首筋など)
- 歯を食いしばる
- タイムが低下してくる
- 一定のリカバリーで心拍が落ちてこない
注意すべきは、このサインが現れたら自分の設定を満たしていなくても途中でやめることです。
「やり過ぎよりも一本少なく」
これがリディアード氏が採用するゴールデンルールだったようです。

一度、自分の感覚で実施してみて2回目以降の設定を調節することが必要ですね!
無酸素能力は短期で最大に達する
リディアード氏は、無酸素能力は週に2〜3回の無酸素トレーニングを4〜5週間続けることで最大にできると述べています。
これ以上の期間、定期的に実施することは逆に疲労を蓄積させることに繋がり、逆にパフォーマス低下に繋がることさえあると指摘しています。
毛細血管の発達やミトコンドリアの成長など時間がかかる有酸素能力の発達とは位置付けを分けて考える必要があるのはこのためです。
ただし、無酸素運動がこの1ヶ月で完全になくなる訳ではありません。
次のステージで、今までの要素を総合的にミックスする期間が存在します。

インターバル・トレーニングは1ヶ月を目安に集中的に取り組んで、体調を維持したまま次の調整期へ移行するということですね!
無酸素(インターバル)トレーニング実施例

それでは実施例について紹介します。今までのトレーニング以上に個人の感覚が重視されますので、感覚を研ぎ澄ませましょう!
リディアード氏がよく利用していたとされるメニューは下記の通りです。

出力のイメージはざっくりこんな感じみたいです。
- 1/4:そこそこ楽にできる
- 1/2:速めで快調にできる
「今でもできる!」って思いますよね?
これで心拍が目標域に到達するかは微妙な気がしますが、そこは個人で調整していくのがいいのでしょう。
凄い練習をするのではなく、レースで速く走ることを追求した結果このメニューになっているそうです。
今後、わたしは自ら試して効果の有無を判断する予定です。
有酸素トレーニングも含めたメニュー例

ヒル・トレーニング期と同じく有酸素能力を維持しつつ、スピードを高めていきましょう!!
ポイントとしては下記の2点があるので、気をつけてみてください。
- 無酸素とLTペース走は48時間以上あける
- 有酸素ランはリカバリーとして実施する
こちらの内容は参考文献である「リディアードのランニング・トレーニング」(ベースボール・マガジン社)に記載されている内容の表記を一部変えたものです。
有酸素ロングラン:90-120分以上
有酸素ラン:45-50分
ファルトレク:不整地を20-60分
LTペース走:30-60分以内
インターバル・トレーニング:40-60分

無酸素(インターバル)トレーニングのまとめ

自分の感覚を使って効率的なトレーニングを組んでいくという陸上未経験者には少し難しい内容ですが、ここで示した基準を参考に取り組んでいきましょう!
- 目的は無酸素に耐える体の獲得!
- 2-4週間、自分の感覚重視で!
- 頻度:週2くらい
- 時間:40-60分
- 距離:200-1000m
- 速さ:最大心拍の9割
- 回復:最大心拍の6割
- 終わり:力み感じたら
- 取り組むポイントは3つ!
- 量と強度のバランス
- 自分の感覚と反応
- 期間は約1ヶ月
週2回も有酸素ロングランに加えて組み込むので、少し大変かと想像しますが、今まで考えていたインターバルの強度ではないことに注意しましょう。
それでは良いランニングライフを!