リディアード式ランニング・トレーニング〜中編3:コーディネーションのポイント〜

LYDIARD

今回は大会の1ヶ月前に相当するコーディネーション期間についてです。これまでの成果をどうミックスしていくかがポイントです!

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コーディネーションの全体における位置付けと目的

これまでの練習の総仕上げで1つの形に仕上げていきます!

これまで長い期間をかけて有酸素トレーニング・ヒルトレーニング・無酸素インターバルを実施してきました。

それでは早速、コーディネーション期の目的を確認しましょう!

コーディネーションの目的

有酸素能力・無酸素能力・スピードの3要素を混合させる

これまでは、各能力を最大化するためのトレーニングでした。

ここからは、レースを走るためのトレーニングに変わります。

リディアード氏が「レシピを知っている人は少ない」と言っていた意味がここではよく分かります!

詳細はやはり本書で確認するのが一番です。

コーディネーションの内容とそのポイント

続いて、トレーニング内容についてみてみましょう!

コーディネーションの実施方法

期間:3〜4週以上 (マラソンは+α)

内容:レースに近い距離のタイムトライアルを含む複合練習

頻度:これまでの個人の頻度に準ずる

内容はマラソンを想定すると、70%程度の力で60-75分間一定ペースで走ることが中心となります。この部分は、後ほど詳細に触れます。

この期間でも同様に「個人への最適化」が重要となります。

ポイントは下記の3点です。

タイムトライアルの利用

「レースで走るための体」=「レース距離を一定のペースで速く走る体」にする最良の方法として利用されます。

個人により実施内容は異なりますが、下記のような例となります。

一般ランナーの場合、

  • トータルで3〜4回
  • 2種類のパターンを交互に
    • 目標ペースよりやや遅めで90-105分
    • 目標ペースで30-45分

距離ではなく、ペースと時間を重視します。

また、マラソンの目標ペースはここに到るまでのトレーニングから現実的なものにしましょう。

実施には3つのポイントがあります。

  1. 進歩の余力を残して実施
  2. 進歩のタイミングは調節すべき
  3. 進歩に気を良くしすぎない

これらは全て頑張り過ぎてピークアウトしないために必要なことです。

あくまで最速で走るのはレースであり、凄い練習をすることではありません。

これまでのトレーニングに成功していれば、トライアルを実施するたびにタイムが更新されていくようですので、冷静に積み上げていきましょう。

このトライアルの効果を適切に受けるには、トライアル結果と自分の分析が重要になってきます!

自分の反応を分析して練習を計画

各トライアルを分析することで、ペースを維持する上で自分に足りない要素をあぶり出すことができます。

そして、分析の結果を次の練習内容に反映させていくという流れです。

難しいように思えますが、以下のようにスキームはシンプルです。

これを一回のサイクルとして、何回かまわしながらピークまで持っていくことになります。

何回繰り返すとピークに達するのかは個人に依存するようです。記録を取りながらじっくり分析して最高の状態に持っていきましょう。

積み上げてきた各能力の維持

このトライアル実施期間では、あるジレンマが生じます。

  • 有酸素能力が落ちるとタイムが頭打ちになる
  • 無酸素能力が短期間のうちに失われていく

これらはある程度は仕方のないことではあります。

では、どうすれば積み上げてきた能力を維持することができるでしょうか。

リディアード氏はそれぞれに対して下記のような対策をしていたようです。

有酸素の方についてはもう説明の必要はないでしょう。

無酸素能力の方では「50/50」(通称シャープナー)と呼ばれる方法が登場します。これは下記のようなトレーニングです。

  1. 一定の距離を50mずつ区切る
  2. 最初の50mをダッシュ(全力!)
  3. 次の50mをその勢いのまま流す
  4. 2→3の繰り返し(トータル2-3km)

このトレーニングでは、①最大スピードの発揮②局所的な筋肉の疲労がポイントとなっています。

特に2つ目のメリットが大きいようで、スピード練でありながら局所的な酸性化しか起きないので疲労が長引かないという効果があります。

最近、HIITと呼ばれる高強度インターバルトレーニングに近い考え方と言えます。

今日もてはやされるトレーニングの源流は1970年代に生まれていたのですね。。。

コーディネーションの実施例

基本的には上記でご紹介した通り、レースに近い距離・ペースのトライアルと分析を繰り返すという内容です。

とにかく、自分の反応・結果と向き合うことです。

ここでいかに効果的に仕上げられるかが結果を左右します。

繰り返しになりますが、ここでのトライアルが自己ベストにならないよう自制心を持って取り組みましょう!

コーディネーション期のメニュー例

この時期は優先度の高いものだけ固定して、あとは柔軟に考えることが大事です!

ポイントとしては下記の2点です。

  • タイムトライアル結果に応じて柔軟に変更
  • 有酸素・無酸素の能力は維持する

こちらの内容は参考文献である「リディアードのランニング・トレーニング」(ベースボール・マガジン社)に記載されている内容の表記を一部変えたものです。

  • 有酸素ロングラン:90-120分以上
  • 有酸素ラン:45-50分
  • ファルトレク:不整地を20-60分
  • タイムトライアル(TT長):90-105分
  • タイムトライアル(TT短):30-45分
  • 50/50:2キロを目安に

コーディネーションのまとめ

この時期は今までよりメニュー設定が大変だと思いますが、最も記録の伸びを実感できる時期でもあります!最高の体に仕上げましょう!

コーディネーションのまとめ
  • 目的は有酸素/無酸素/スピードの融合
  • 一定ペースで速く走る体づくり
  • 3〜4週以上 (マラソンは+α)
    • 頻度:これまでに準ずる
    • タイムトライアルの利用
    • 長:レースよりやや遅, 90-105分
    • 短:レースペース, 30-45分
  • ポイントは3つ!
    • 頑張りすぎてピークアウトしない
    • 自分の反応を分析してメニューを
    • 積み上げた能力の維持

ここまで到達した方なら、十分に自分の体を観察できるはずです。

最後の仕上げで失敗しないように、慎重に取り組みましょう!

具体的なトレーニングはこれで最後で、次回はピーキングについてです。

それでは良いランニングライフを!

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