今回の内容は「アキレス腱の役割を理解する」です。
あえてアキレス腱に対してワークがある理由
全体を見てみるとアキレス腱だけ特別扱いされているように思えますが、それだけ重要な役割を占めるということです!
これまで10種のワークのうち5つまでを紹介しました。
間延びすると何を学んでいるのか見失ってしまうので、ここで全体図を見てみましょう。
このワークは下記のような構成になっています。
ほとんどのワークはポーズ・フォール・プルを適切に行えるために設定されています。
では、アキレス腱は何のために。。。?
実は、フォアフット接地と密接に関係しています。
フォアフット接地はポーズ・メソッドの中で推奨されている接地方法。
キプチョゲ選手や大迫選手で話題になりましたが、このメソッドは1970年代に既に確立されていたもので、決して流行りにのっている訳ではありません。
精密なランニングフォームの観察から50年も前に見出されていたのです。
それでは、いつもの通り解説していきます!
ワーク6:アキレス腱の役割
理論:アキレス腱による推進力とフォアフット接地
ランニングにおけるアキレス腱の役割は次の通りです。
アキレス腱は接地と同時に伸ばされながら衝撃吸収し、地面の反発を受けるタイミングで等張になり、足が離れるタイミングで急激に収縮することで推進力を生み出します。
まさに”ばね装置”です。
では、これがフォアフットとどう関係するのでしょうか?
実はフォアフット接地でなければ、この"ばね装置"が機能することはできません。
接地時の衝撃を比較したグラフをご覧ください。
ヒールストライクでは、接地初期に衝撃ピークが観察されるのに対し、フォアフットでは滑らかな曲線が描かれます。
実際にやってみると、ヒールストライクではアキレス腱やふくらはぎの筋肉が接地タイミングではほとんど使えていないことが分かるはずです。
ここから、ヒールストライクには大きな問題が2つあります。
- 脚に大きな衝撃となること
- ブレーキ動作により推進力が減少すること
一方のフォアフットでは、受け取った反発をそのまま推進力に変換することが可能なのです。
アキレス腱をランニングに活かすには、フォアフットである必要がある訳ですね!
技術:フォアフットでアキレス腱を使いこなす
ここでは、アキレス腱と周辺の筋肉の弾性を上手く利用するためのニュアンスを理解します。
接地時の形は体重知覚(#1)やポーズ(#2)の項目で学んできました。
ポイントは「股関節の真下に足首が来るように指球部で着地」でしたね!
これに加えて下記を理解する必要があると述べられています。
1つ目は、あくまで自然と生まれる動作であることを指しています。
ありがちなミスですが、フォアフットにしようと足首を下に下げたり、つま先から着地を意識しても、それは本来のフォアフットではありません。
2つ目は、言葉での説明は難しいですが、この意識があると体より前方へ接地することを回避し、体全体が緩やかなS字を描くようになります。
この余裕が、弾性を上手く利用する秘訣の1つです。
3つ目の接地感覚については、「ほとんど指球部。かかとは地面にタッチする程度」というのが本人の感覚に近いようです。
これらを意識した上でドリルに取り組んでいきましょう!
ドリル:スイートスポットを見つける
動作はいつもの通り公式動画で確認してください。
手順は次の通りです。
- 弾力姿勢をとる(#1参照)
- 股関節から体を前に倒す
- ジャンプで体を受け止める
- 1-3を前進しながら続ける
ポイントは下記の3点です。
自分の中で「ココだ!」と感じるポジションを体に覚えこませましょう!
まとめ:スムーズな接地はアキレス腱を駆動する
上手くアキレス腱と周辺の筋肉が使えるようになると、エネルギーコストが半分まで改善できるようです!
この記事でフォアフットが良いと言われる所以が理解できたと思います。
ただし、難しいのは理解よりも体現することです。
最近では、意識的にやって変な動きになっている方が散見されます。
この記事を読んでくださったあなたは、「体重知覚」「弾力姿勢」「ポーズ姿勢」を体になじませながら自然とフォアフットになっていくことを期待しています!
それでは良いランニングライフを!