ランニング時の呼吸は鼻?口?効率的なのはどっち!?

SCIENCE

あなたはどっちでしょうか?ランニングにおいては酸素を取り込むための重要な体の機能です。自分は意識しなくてもほとんどは口かな。。。と思いましたが、ちょっと調べてみました。

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ネットには謎の情報がたくさん

調べようと思ったきっかけは、ランニング情報サイトに結構この手の話があるんですが、どれも根拠が曖昧なんです。。。

ランナーの方は速く走るために苦しくない呼吸方法が知りたいですよね。

そこで、「ランニング 呼吸」で調べるとこんな感じです。

例えば、

  • 鼻で吸って、口で吐くのが効率的!
  • ランニングには鼻呼吸!
  • 呼吸のリズムは「スッスッ!ハッハッ!」の4拍子

理由として全てを否定する訳ではありませんが、「その人の感じ方じゃない?」という表現が目立ちます。何かの検証結果かなと思われるのはこんなものです。

鼻呼吸派の意見
  • 鼻毛が異物混入を防いでくれる
  • 口の渇きを回避できる
  • 腹筋を使うので腹式呼吸になる
  • 酸素摂取効率が高い
口呼吸派の意見
  • たくさんの空気を取り込める
  • 呼吸時の空気抵抗が少ない
  • 心拍が上がりにくい

こっちがオススメ!みたいな感じなんですが、多少の個人差はあれ人体の構造的に自然に決まるんじゃないの?ということで、データに基づいて考えてみます!

呼吸と換気のメカニズム

まずは呼吸・換気がどんなメカニズムで行われているのかについてみてみましょう!こういうのが苦手な方は飛ばしてください!笑

呼吸には、ざっくりいうと口・鼻・肺・横隔膜が関係します。

肺は横隔膜と胸膜に囲まれた胸膜腔の内側にあります。この中は一定の圧力に保たれており、横隔膜・外肋間筋の収縮・弛緩でここが広がったり縮んだりすることによって肺の空気が出し入れされます。

肺に取り込まれた空気は、毛細血管との間で酸素と二酸化炭素を交換することにより、換気がなされます。

イメージとしてはこんな感じですが、より詳しい内容が知りたい方は、下記のサイトがわかりやすいので参考にしてみてください。

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説明

安静時には鼻から取り入れる場合が多いみたいですが、ランニング中はどうなのか見ていきましょう!

運動強度によって呼吸経路はどう変化するか?→ 強度が上がると口呼吸に

それでは運動強度によってどう変化するのかみてみましょう!

検証方法
  • 7名の被験者にバイク運動してもらう
  • 徐々に運動強度をあげ、呼吸の変化を測定

結果はこちらです!

J Appl Physiol (1985). 1995 Oct;79(4):1330-7.よりデータ引用しグラフ作成

運動強度をあげていくと、鼻呼吸による換気の割合が低下することがわかります。

マラソンを走る場合の運動強度は最大運動強度の60-80%と言われていますので、この範囲ではどちらも利用していることがわかります。運動強度が低めの60%では誤差範囲が大きいので、個人差が反映されやすいと思われます。

基本は両方使う。運動強度が高くなると口呼吸による寄与が大きくなるということですね。

ちなみに、換気経路がこのような変化を辿るのは換気の際の抵抗が関係しているそうです。鼻呼吸は空気抵抗が大きいので、大量の換気が必要な状況では抵抗が少ない口呼吸がメインになるという説が有力です。

口呼吸と鼻呼吸はどちらが効率的か?→ 鼻呼吸

続いて、口呼吸と鼻呼吸がどちらが効率的なのかを検証した論文についてみてみましょう!

検証方法
  • 男女計19人の被験者
  • 口のみ(鼻クリップ)、鼻のみ(口テープ)に呼吸を制限
  • 運動強度ごとにトレッドミル(4分ずつ)
  • 呼吸に関するデータを取得

まずは呼吸数と換気量の違いについてみてみましょう。

http://dx.doi.org/10.7575//aiac.ijkss.v.5n.1p.8より引用して加筆

どの運動強度においても、呼吸数と換気量は口呼吸の方が多いことがわかります。肺を動かす回数は多くなるものの、口呼吸の方が沢山の空気を取り込めるということです。

換気量の観点からは、口呼吸に軍配が上がりますね。それでは一回あたりの呼吸の効率だとどうでしょうか?

ここでは一定の酸素・二酸化炭素量を交換するために必要な換気量(換気当量)を指標にみています。値が少ない方が効率的に換気できていることを意味します。

http://dx.doi.org/10.7575//aiac.ijkss.v.5n.1p.8より引用して加筆

運動の強度がある程度上がった場合、鼻呼吸の方が少ない換気量でより酸素・二酸化炭素の交換ができているようです。

換気効率の観点では、鼻呼吸の方がいいようですね。。。これは難しくなりました。(換気量は30%口呼吸が有利、換気効率は酸素・二酸化炭素の両方を考慮すると30%?鼻呼吸が有利。。。)

ここまでの結果から考えると、マラソン位の強度(最大強度の60-80%くらい)なら鼻呼吸を限界まで活用できたら良さそうですよね。。。

そんな研究が都合よく。。。ありました笑

鼻呼吸は鍛えらえるか?→ 可能性あり!

検証方法
  • 男女計10名の被験者
  • 鼻呼吸だけで最低6ヶ月間を過ごす(練習も)
  • 口のみ(鼻クリップ)、鼻のみ(口テープ)に呼吸を制限
  • トレッドミルで様々なランニング指標を測定

運動強度を徐々に最大まで高めた時(100%VO2max)の鼻呼吸と口呼吸の違いをみてみましょう。

http://dx.doi.org/10.7575/aiac.ijkss.v.6n.2p.22より引用して改変・加筆

上段のランニングのパフォーマンスに関わる指標(疲れ切るまでの時間・最大酸素摂取量・血中乳酸ピーク)については大きな差がありませんでした。

呼吸の指標に関して、呼吸回数が鼻呼吸の方が少ない点は先の研究と同じ結果ですね。

ここでは呼気中の酸素・二酸化炭素濃度を測定していますが、いずれも鼻呼吸の方が効率的に換気できていることを示しています。

ここでのポイントは運動強度が高くなっても鼻呼吸で同等のパフォーマンスを発揮できるようになっている点です!

現状では鼻呼吸だけでも最大パフォーマンスを発揮できる可能性があるということまで分かっているようです。

ちなみに、鼻呼吸で呼吸回数が少なくても良いのは、空気をより肺の奥まで送り込めることが要因の1つと考えらえれています。

まとめ:鼻呼吸がメインになると有利そう

まだ研究の過程なので絶対的なオススメは示せませんが、鼻呼吸をメインに考えるのもありですね!

研究で分かっている鼻呼吸のメリット
  • 呼吸回数が少なく抑えられる
  • 換気効率がいい
  • 最大強度の運動でも短時間は維持できる

まだ分からないこと
  • 長時間の運動でもパフォーマンスを維持できるか

とは言え辛くなると口呼吸への移行は避けられません。

鼻呼吸が最大限に活用できていると、口呼吸を動員した場合にも今までより楽に感じられる可能性があります。

試すか試さないかはあなた次第です!

それでは、良いランニングライフを!

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