この研究、実はほとんど行われていなかった。。。
皆さんも運動後にはダウンと称して、軽い運動しますよね?
今回はこのダウンに意味があるのかを検証した論文をご紹介します。
当然必要!!と思ったんですが、論文の冒頭でこのように記載されています。
運動後の回復にとって、能動的なクールダウンは、何もしないという受動的なクールダウンよりも有効だと広く信じられている。しかし、このトピックに関する研究はほとんどなされて来なかったため、この効果が本当かどうかは多くが不明なままである。
Sports Med (2018) 48:1575–1595
えーーーーっ。そうなの?しかも、これは2018年の論文です。完全にこれまで信じてました。科学的な根拠はなかったのか。。。あの部活の日々は一体。。。
ほとんどの項目に差がないという結果!!
筆者らは、新たに研究するのではなく、過去の多くの研究をまとめる形でアクティブレスト(体を動かす)の効果をパッシブレスト(安静)と比較しました。
比較の項目は下に記載した通りです。
- 条件を満たす20報弱の論文結果を比較
- アクティブレスト:軽い運動によるもの(アイシング除外、運動後1時間以内)
- パッシブレスト:運動を伴わないもの(座る、寝る、立っているだけ)
- 比較項目:運動パフォーマンス、生理学的な指標
- 測定日:翌日、翌々日
表は各評価項目に関して、緑が効果あり、青が差なし、赤が悪化を表しています。その中の数字は、その結果が得られた論文の数です。
それぞれの論文の信頼性が等しいとすると、ほとんどの項目でアクティブレストの効果がない(統計的に)という結論になっています。運動のパフォーマンスには影響しないようです。
効果がある:血中乳酸が少なくなる
血中の乳酸濃度の低下に関しては、効果がありますね!
少なくとも、血中の乳酸は短い時間でなくなっていくようです。
一方で、筋肉中の乳酸濃度については必ずしも低下している訳ではありません。
筋肉中に関しては、数が少ないので判断は難しいですが、筆者らはこのことが実際の効果に繋がっているかは疑問だと言っています。
悪化してそう:グリコーゲン再合成
こちらは実際の行動に比例していると考えられます。
グリコーゲンは、筋肉に貯められる糖の一種で、筋肉の収縮に必要なエネルギー源です。
アクティブレストにより軽い運動を行うとその分、追加で糖が消費されますので、その影響が見られているようです。
信じる者は救われる系のものなのか。。。?
この記事では詳細は省いて、変化の大きなところだけ見てみました。全体としては、少なくとも短期では効果がなさそうですよね。
筆者らは、この研究で注意すべき点として下記をあげています。
- よくトレーニングされたアスリートのデータではない
- クールダウン方法も統一的なものではない
- ほとんど短期の評価なので、長期的な効果はもっと研究が必要
ランニングの場合、ダウンジョグはしなくてもその後のケアはした方がいいと思います!良ければ下記でオススメのケア方法をまとめたので、参考にしてみください。
この領域って意外と迷信的なこと多いんですかね。。。
Daniels氏のVDOTやCooper氏のマラソン予測タイムなど、今日本で著名なものは1960-70年代のものが多いようです。
今後はその点にも気をつけて、皆さんに有用な情報を提供していければと思います!
それでは、また!